第二章*幕末を生きた男達

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「ハァ..ハァ!!」 ─一体…どれくらいたったんだろう… 私を殺そうとした男からいったいどれくらい逃げ走ってきたんだろう。 (…体力には自信がある方だけど…) さすがにキツイ… 少しペースを遅くして走りながら乱れる呼吸を必死に整える。 後ろから先程の男が追ってきていないか確認した。 気配はない… (…逃げ切れ‥た?) そう思った時…。 「…!きゃぁ!!」 バタッ!!! 後方に気を取られていた私は何かにつまづき転んでしまった。 「…っ…ぃたぁ…」 少し涙目になりながら起き上がる。 脚から血が出ていた。 …これは少し休憩しないとヤバイかも。…まぁ引き離したし大丈夫だよね…? 軽くため息をついて、一本の気に寄り掛かろうとした時… ─「なんや気付いとらんのかいな」 …声がした。 「なっ?!」 声がした方に振り返るがそこにはいない。 「ふっ…こっちやて、どこ見とるん?」 頭上から聞こえてくる声。 まさか… 恐る恐る上を見る、そして…… 「………ぁ…?」 男の姿を見て絶句した。 「…?なんやもう鬼ごっこ終わりかいな…つまらへんなぁ」 楽しそうに笑う男とは裏腹に私は口をあんぐり開け、目を点にしている。…逃げようなんて考えはなくなった。 …正確には別の事を考えて逃げるなんて考えは何処かへ飛んでいっちゃったんだよね…
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