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「え?!ちょっ!!恋歌!!?」
友人が声をかけた時、既に恋歌の姿はなかった。
「ったく!!逃げやがって!!昔から足だけは無駄に速いんだから…」
頭をガシガシと掻くと友人は空を見上げる。
少し橙色に染まった空を見て小さな溜め息をついた。
昔から誰に相談する事もなく、溜め込んで…
たまには相談してくれればいいのにさ…
(あの様子から見て…ケンカでもしたってとこかな?)
心配と…少し怒りが交ざる感情。
「まぁ仕方ないか…」そういうと友人は自分の家の方向へ帰っていった。
──────
───
「ハァハァ...」
角を曲がったところで恋歌は走るのを止めた。
「も…ムリ‥だ……ヒック‥ウッ‥」
涙がどんどん溢れて…前がよく見えない。
─"航"─
涙で視界がボヤける中、恋歌は左手を見た。
左の小指に航からもらったリングがはまっている。
「っ!...航..!なん『プップーー!!!!』
─ほんの一瞬の出来事だった─
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