全力愛歌

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歌う時って、誰もが何かしらの気持ちや想いを込めて歌う 誰かに聞いて貰うために歌う時は誰もが「私の歌を聞いてっ!」って思いながら歌うよね もしかしたら 自分の美声に酔ってる人もいるかもしれないけれど でも、それだって「もっともっと旨く!!」って、求めてる 私は、そんな気がするんだ 『私』こと松田 響は、人気作詞家である ぼーっとしながら『歌うこと』について考え、格好良い事を言っていたが、実は彼女は昔から音痴というレッテルを貼られていた 「自分が音痴というレッテルを貼られている」というのは、本人の言葉なだけで、実際に音痴であるが・・・ だが、その事実をものともせずに彼女は『歌い続けていた』 彼女も昔は良く路上ライブなどをやっていたものだ 当時の彼女の将来の夢は『歌手だった』のだから当たり前 やはり音痴であるがために誰も止まって聴いてはくれず、寧ろ笑い者にされていたのだ ・・・が、 彼女は何事にも【全力】で猪突猛進といえるような性格をしている 単細胞と呼ばれていたこともある その猪突猛進な彼女の頑張りは1ヶ月、また1ヶ月と続き、ある日、彼の目に止まった 彼の名は斎藤 昂希 彼は歌手であるが、気に入った詞しか歌わないという少し困った奴である しかも、なかなか気に入るものがなく四苦八苦しているのだ(選ばなければ良いだけのこと) その癖に自分では詞を書こうとはしない 彼曰く、斎藤 昂希には詞を書く才能がないそうだ 彼女の想いが溢れた『詞』は、そんな彼の心に刺さるかのように届いた 「君、歌はからっきし駄目だけど、その詞には光るものがあると思うよ 僕は君の声になるから、君は僕の為に詞を書いてくれないかな?」 僕達が一緒になれば、きっと上に行ける!! そう思った彼は、恥ずかしい事をスラスラと当たり前の様に言ってのけたのだった その日から、 松田 響の夢は変わった それと同時に、恋をした 彼は頂点を目指すために、 彼女は彼のために、 今日も全力で愛を書き、愛を歌うのだった END
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