放課後。

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ある日の放課後、 平林寺のあたりの 道を自転車で走っていると 年配の女性に話しかけられた。 「兄さんちょっと」 「はい?」 「きゅうりもってくかい? 余っちゃって… 遠慮せずにもってきんしゃい」 僕は驚いた。 知らない人がいきなり きゅうりをくれるということに。 最初は、 毒が入ってて僕を殺そうと しているんじゃないかとさえ 思ったが、 おばあさんの顔からは なにか企んでることが あるとは思えなかった。 田舎のちょっとうれしい 出来事にビックリしながら おばあさんから遠慮無く きゅうりを頂いた。 家に帰って持って帰ると、 父は 「世の中物騒なんだから 人からもらった食べ物なんか 食うな。死ぬぞ?」 と言ったが、 母は 「おいしそうなきゅうりね。せっかく頂いたんだから食べましょう。」 と言いながら きゅうりをスティックにして 味噌をつけて食べてみた。 「みずみずしくておいしい。」 つい声に出した。 こんなきゅうり食べたことない。 新鮮な取り立てのきゅうりは 違うなと思った。
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