確信犯 10

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帰宅して、藤原の家に向かう支度をしシャワーを浴びる。 体を洗っていて、ふと昼間の藤原の手の感触がよみがえってきた。 ごく自然に、俺の腰から太股を撫でさするように触れてきた大きな手のひら。 そこから連想される、藤原との夜の記憶。 昼間の触れ方よりもっと荒々しく、いやらしい藤原の手のひらを思い出して、もうすぐそれが味わえるという期待に体がにわかに熱くなった。 --ピンポーン 突然鳴ったチャイム。 真っ先に浮かんだのは藤原の顔。 (迎えに来んでええ言うたのに…) そう思いながらも、いそいそと下だけ履いて、濡れ髪のまま玄関に向かう。 ピンポーン 「はいはい!!」 どうせ藤原だろうからと乱暴に返事をし、ドアスコープを覗く。 「…えっ」 そこには、藤原ではなく先輩芸人の姿があった。 「ちょ、ちょっと待って下さい」 慌ててその辺に掛けてあったシャツを羽織り、ドアを開ける。 「どうしたんすか浜田さん」 大先輩は、人懐こいいつもの笑顔を見せて言った。 「近くまできたもんやから。電話でえへんから覗いてみたわ」 「あ、そうなんすか。えっと…」 「なんや。用事あるんか」 「あ、いや、」 まずい、 そう思った。
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