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帰宅して、藤原の家に向かう支度をしシャワーを浴びる。
体を洗っていて、ふと昼間の藤原の手の感触がよみがえってきた。
ごく自然に、俺の腰から太股を撫でさするように触れてきた大きな手のひら。
そこから連想される、藤原との夜の記憶。
昼間の触れ方よりもっと荒々しく、いやらしい藤原の手のひらを思い出して、もうすぐそれが味わえるという期待に体がにわかに熱くなった。
--ピンポーン
突然鳴ったチャイム。
真っ先に浮かんだのは藤原の顔。
(迎えに来んでええ言うたのに…)
そう思いながらも、いそいそと下だけ履いて、濡れ髪のまま玄関に向かう。
ピンポーン
「はいはい!!」
どうせ藤原だろうからと乱暴に返事をし、ドアスコープを覗く。
「…えっ」
そこには、藤原ではなく先輩芸人の姿があった。
「ちょ、ちょっと待って下さい」
慌ててその辺に掛けてあったシャツを羽織り、ドアを開ける。
「どうしたんすか浜田さん」
大先輩は、人懐こいいつもの笑顔を見せて言った。
「近くまできたもんやから。電話でえへんから覗いてみたわ」
「あ、そうなんすか。えっと…」
「なんや。用事あるんか」
「あ、いや、」
まずい、
そう思った。
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