確信犯 10

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俺が「あがって下さい」の一言を躊躇っていると、浜田さんは何か感じ取ったのか、「誰か来るんか」と尋ねた。 言うべきだろうか、藤原とのことを。 一度は気持ちを洗いざらい話したことがあるし、心配してくれているのも伝わる。 浜田さんから誰かに話が流れることもないだろう。 けれど、この付き合っているわけでもない曖昧な藤原との関係を、どう話すべきか…。 迷っていると、部屋の方で携帯が鳴った。 「鳴っとんで」 「いや、大丈夫す」 「ええよ。早よ出え」 促されて携帯を取りに行くと、藤原だった。 『もしもし?やっぱ迎えいくわ』 「…!!」 『聞いとる?』 「聞い、とるわ!来んでええゆうたやろ」 『何キレとんねん…。もう向かっとるから』 「は!?向かっ…ちょ、わかった、支度するからゆっくり来い!!」 『ほんでももう、』 何か言いかけた藤原を遮って電話を切り、慌てて浜田さんに駆け寄る。 「すんません…、藤原来ますわ」 「藤原?」 「はい、せっかく来てくれたのに、あの」 俺の慌てぶりを見て、浜田さんはニヤリと笑った。 「そういうことになったんか。よかったやん」 「いや…よくもないっすわ。何かよおわからん感じで」 「ほぉん、さよか。まぁまぁ、ほんなら帰るわ」 「ほんますんません。下まで送りますわ」 首からタオルを下げたままで、靴をひっかけて外に出る。
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