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【金土どっちも空いてます】
メールを送り、携帯を両手で挟む。
はあー、
思わず深いため息が漏れた。
その時、
~♪
「…!!」
急に手の平の中で鳴り出した携帯に、びくっとする。
メールじゃなく、着信。もしかして、と思ったがやはり藤原さんからだった。
「うわ、うわ、うわ」
誰もいないのに、顔が赤くなって心拍数があがる。
一呼吸置いて、電話に出る。
「っも、しもし」
『もしもし?今大丈夫?』
「はい」
『週末やけど。俺もどっちも大丈夫やから、金曜にせえへん?』
「はい」
『早い方がええやんな』
「はい」
やべえ。俺"はい"しか言えてねえ。
何か喋らなきゃ。何か、何か。
「あの、」
『うん?』
そう答えた藤原さんの声が、ちょっとぽやんと甘くて、優しくて。
だから。
胸がぎゅうっと、いっぱいになったから。
「好きです」
つい、言ってしまったんだ。
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