動詞のジャンクション 21

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振り返る。 冬の入り口。 冷たい風が、ひゅっ、と吹いた。 もう、前と同じようには答えられなかった。 井本が、張り詰めた糸のような顔をしていたから。 あぁ。 「好き」って、そうゆう「好き」か。 俺の中で、答えが出た。 きちんと答えよう、と思った。 がしゃん。 引いていた自転車を止めた。 井本の表情が強張る。 俺は、体ごと井本に向き直り、言った。 「おん。お前が好きや」 「…ふじ」 「友達やなくて」 こいつは、知っとったんやな。 鈍感な俺なんかより先に。 待たせてごめんな。 その時の井本の顔は、一生忘れない。 めちゃくちゃかわいい顔で。 嬉しいのと恥ずかしいのと、あとちょっと泣きそうなのと、 全部ごっちゃになったような顔で。 幸せそうに笑ったんや。 .
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