うしろぐらい

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明るい時に"する"のって、なんであんな背徳感あんだろう。 別に法律で禁じられてる行為でもない。 けれど、ぴっちり閉じたカーテンから漏れ出た光に、苛まれるような気分になる。 夜なら許されて。 朝は咎められる。 ような、気分に、なる。 「何やってんだろ俺」感が、より強くなる。 「あっ、も、時間…す」 「えっマジで?」 「マジです…って、ちょ、やだ」 「あと何分?」 「15…13分?や、だからあ。手」 「13分。いけるいける」 「ちょっ・と、ふざけんなよぉ」 「あはは」 殴るフリで構えた腕は、予想通り掴まれて。 予想よりちょっと乱暴に背中に回される。 忙しなく侵入してきたソレの硬さは予想外。思わず背が反る。 この人いつの間にこんななってたんだ、とちょっと可笑しくなって、枕に押しつけられた喉から「くふ」と声が漏れる。 身動き取れなくて、時計が見れない。 けど、きっとなんだかんだ言ってこの人時間気にしてくれてんだろうな。 あいつ、もう家出たかな。 カーテン越しに聞こえる鳥の声。 あー。 俺がこんなとんでもねえ体勢になってる間にも。 世の中は、始まってんだな。 .
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