動詞のジャンクション 22

2/6
前へ
/528ページ
次へ
猿みてーなもんだ。 覚えたての快感をむさぼる俺達は、もはや人間じゃない。 何年もくすぶっていた分、余計なのだろう。 求めて、求められて。 鎮火しては燃えて。 終わりがない欲求。 微かに聞こえる鳥の声にハッとして、窓に目を遣る。 白みかけた空。顔を見合わせて笑う。 その、互いの笑顔を見て。 また笑う。 【第二十二話・色惚ける】 「腹減った…」 布団の上で、丸まりながら力無く若林が呟く。 俺も、と答える前に腹がきゅるきゅると音を立てた。 「なにか買ってくる」 「え」 「マックとかでいいだろ」 立ち上がりかけた俺の腕を若林が慌てて掴む。 「俺も行く」 ああ、何だろうな。 可愛い顔してるな。 「?何ジロジロ」 「可愛いなって」 「はあ?」 気持ち悪り。 そう笑いながらも、言葉とは裏腹に唇を寄せてくる若林。
/528ページ

最初のコメントを投稿しよう!

820人が本棚に入れています
本棚に追加