動詞のジャンクション 22

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(…複雑、ではあるがね) 気にならないと言えば嘘になる。 あんな顔も、 こんな声も、 藤原さんは恐らく知っている。 俺より先に。 俺より多くを。 「ん…かす・が」 「うん?」 「俺ら…どうかしてるよな」 ぱつぱつに熱を孕んだ頬で、若林が笑う。 そうだな、 呟く自分の声も掠れてる。 熱があるときみてーに。 若林を見下ろす目が、どんなことになってるか。 何となく想像はつく。 「ん…」 「はぁ、」 「お前、復活早くねぇ…?」 「…あんたこそ」 前の誰かとか、比べることとか。 それこそ意味のないことだ。 (…分かってはいるんだがね) 誰も見たことのない顔をさせてやりたい。 聞いたことのないような声を上げさせて、 したことのないような体位で。 そんな事を思いながらも、頭の中は次第に欲や色に支配されて。 だんだん、見えなくなる。 視界に映るただ一つのもの。 わかばやし。 .
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