動詞のジャンクション 22

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こんなんじゃダメ人間になる。 そう言って、お互いに急かし合って服を着た。 「セックス廃人だ」 「そうね」 「暇な大学生みてえだもん」 「ははは」 外に出ると、からりと冷えた夜の空気が心地よかった。 さっきまでの部屋の中が、男二人の熱気でどれだけ蒸していたかを思って、思わず笑いが漏れる。 並んでマンションのエントランスを抜ける。 と、不意に若林が「あ」と小さく呟いた。 顔を上げ視線をたどると、こちらに向かってくる男が一人。 こちらに気づいていない様子の、マンションの住人らしき青年。 顔見知りだろうか。 声をかけようか迷っている様子の若林に、男が気付いて即座に「おー!」と手を挙げた。 「あ、どうも、こんばんは」 「こないだはおおきにー。出掛けるん?」 「はい、…えっと、お仕事ですか」 「おー、残業やってん。むっちゃしんどい」 関西弁。 なんだか見たことがある気がしたが、気のせいだろうか。 会話に参加するでもなく、手持ち無沙汰に傍らに立っていると、男が人懐こい笑顔を向けてくる。 「こんばんはー」 「どうも、こんばんは」 あ 唐突に思い出した。 同時に、胸の奥がざらりとするような複雑な気分になる。 .
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