確信犯 10

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見上げた藤原の顔は優しくて、口移しで触れた唇の感触に、妙に恥ずかしくなった。 キスなんて、もう何度もしたのに。 わざとぶっきらぼうに言う。 「ハズいことすんな」 「ハズないわ。起き上がんのもしんどいんやろ?俺の優しさー」 「…水ヌルい」 「しゃあないやろ」 ほい、とペットボトルを手渡される。水滴のついたボトルはひんやりして心地よかった。 だが、受け取るだけで全身にのしかかるような倦怠感を感じて、手にしたペットボトルを開けることも忘れため息をつく。 「しんどい?」 「…おん」 「ケツ?」 「ケツもやけど、全身…」 ぐったりとしている俺の隣に移動して、藤原が俺の首の後ろを揉むように撫でる。 「ヤりすぎたな。サルかっちゅう話」 「…誰のせいやねん」 軽く睨むと、「俺か」と屈託なく笑う藤原。 「なんぼほどヤったんかな。もうお互いおっさんやのに」 笑いながら部屋を見渡す。 床に、ベッドに、散らばるティッシュの山。 思春期のようなその光景に、思わず苦笑いする。
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