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時間の中を自由に生きていきたいなんて、もはや時間を支配する勢いの願望だ。
まぁ、無理な話ではないのだけれど…これはこれで難題な話になってきた。
溜め息を吐きつつ彼女を見やると、すでに彼女はうわの空。
「夢…かなうのかな…」
…なんて、すでに妄想に想いを馳せている。
それでも、彼女の瞳は真剣そのものだった。
いままで幾度となく見てきたこの瞳は、決して人の忠告を聞かない現れだ。
それでも私は問う。
「アナタの望みはわかったわ。アナタの過去に何があったかはわからない。でも、アナタは絶望して、いまの時間に希望がないと思っている…そんなとこかしら」
無言で私を見つめる彼女の瞳は、一瞬寂しげに揺れた。
「私は、アナタの夢を叶えてあげることができるわ。…でも、時間は本来、人間が手にすることは許さない。だから、簡単にアナタの夢を叶えるわけにはいかないのよ」
「どうすればいい…?」
早く、早く。
そう言いたげな彼女をしっかりと見つめる。
穢れなき眼で見つめ返してくるアナタは、この言葉を聞いて気付いてくれるかしら…。
「代償を捧げなさい」
これが私の残酷な商売。
「…代償さえ払えばいいの?」
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