第1章:ようこそ、時間屋へ

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「えぇ。でも代償はとても大きいわよ?望みに見合う代償を捧げなければいけない」 「なんでもあげる。夢が叶うなら…代償なんて惜しくないよ」 彼女の眼を見据える。 眩しい輝きに満ちた瞳。 人は欲望に身を委ねれば、どこまでも際限なく堕ちていく。 それは私がよく知っている。 この子はそれを望むのかと…私は落胆するしかなかった。 彼女の答えは、もう揺るがない。 「…先に言っておくけれど、代償としてアナタが何を失うかは、その時になってみないとわからない。…それでもアナタは望むのかしら?」 次に言う言葉は、もう痛いほどわかっている。 「それでも、かまわない。夢の…ため…!!」 ほら、言ってしまった。 悪魔の誘惑に負けてしまった可哀想な子。 代償がどれほど大きなものなのか、確実に理解しきれていない。 私はひっそりと溜め息を吐く。 でも、私は時間屋の店主…お客様のご希望通りにことを運ぶのが、私の意味。 「なら、契約を始めましょうか」 私は首からさげていた鍵に手をやり、それを通していたチェーンごと引き千切った。 力に耐えきれなかったチェーンが、この場の空気に似合わない軽い音をたてて床に広がる。
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