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「おい、いるかクソ兄」
兄の部屋に入るとやつはいつものように全裸でうつ伏せになっていたが流石にあたしも手慣れたものだ。
「ノックぐらいして入れクソ妹」
「うるせえちん〇んに辛味噌つけるぞ疑似インポ兄」
「ファ〇クうるせえ何の用だメンタル腐れ処女」
「そこの部屋の隅で埃かぶってるエレキギターをあたしによこしやがれペレストロイカ」
ちなみにペレストロイカの意味はあたしもよくわからない。まあ、イカ野郎みたいな意味でどうせ喧嘩に使う言葉なのだろう。
「ふざけんなボリシェビキー!」
と、あたしがギターに手をかけた瞬間にそれまでうつ伏せで寝ていた兄が恥ずかしい部分をぷらぷらして飛びかかってきたので、あたしは手に持ったギターをおもくそ振り回した。
「でででどどどぶぶぶグラスノスチ!」
と言いながらクソ兄はギターが直撃した太ももを抑えてのたうち回っていたが失恋のショックも尾を引くあたしはどうでもよかったのでこれまたくるりと回れ右して部屋を出た。
後日、松葉づえをつきながら「骨折してた」と兄が話しかけてきたがそれを聞いてる間も興味がなかったのでじゃがりこを食べていた。
まあ、少しは悪かったよ。
たまにはクソ兄じゃなくて屁兄ぐらいにしておこう。
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