No.4 深淵と悲劇

8/21

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
ライトの異変に気づいたティナは、慌てた様子で詰め寄った 「ライト!?どうしたの!?」 ライトは俯いたまま何も答えない ティナは鋭い目つきでガル―苦い表情でライトを見ている―の方を見た 「……あなたが何かしたんですか?」 明らかに嫌悪感が混ざった言い方 ティナの目には疑いが混ざっている ガルは苦い表情をさらに曇らせて答えた 「妙な想像するもんじゃないぞ、嬢ちゃん。……小僧、悪かったな。嫌なこと思い出させちまったみたいだ」 ガルの言葉を聞いたティナは、ガルが何かしたのではないということをすぐに悟り、疑いの目を向けるのをやめた ティナが謝ろうと口を開きかけたところで、黙っていたライトが言う 「……いや、謝んなくていいよ。あれはおっさんのせいじゃないしな……」 しゃべりはしたものの、ライトは一向に顔を上げる気配を見せない そして、ライトはこう続けた 「………すこし、1人にしてくれ」 ライトは一瞬、顔を上げた だがすぐに2人に背を向けて歩きだした その一瞬で、ティナは確かに見た ライトの表情 それは、まさに絶望の淵に立たされたような、そんな顔だった ティナは、今まで1度も見たことのなかったその表情に驚き、引き止めることすら忘れていた
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加