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ライトの異変に気づいたティナは、慌てた様子で詰め寄った
「ライト!?どうしたの!?」
ライトは俯いたまま何も答えない
ティナは鋭い目つきでガル―苦い表情でライトを見ている―の方を見た
「……あなたが何かしたんですか?」
明らかに嫌悪感が混ざった言い方
ティナの目には疑いが混ざっている
ガルは苦い表情をさらに曇らせて答えた
「妙な想像するもんじゃないぞ、嬢ちゃん。……小僧、悪かったな。嫌なこと思い出させちまったみたいだ」
ガルの言葉を聞いたティナは、ガルが何かしたのではないということをすぐに悟り、疑いの目を向けるのをやめた
ティナが謝ろうと口を開きかけたところで、黙っていたライトが言う
「……いや、謝んなくていいよ。あれはおっさんのせいじゃないしな……」
しゃべりはしたものの、ライトは一向に顔を上げる気配を見せない
そして、ライトはこう続けた
「………すこし、1人にしてくれ」
ライトは一瞬、顔を上げた
だがすぐに2人に背を向けて歩きだした
その一瞬で、ティナは確かに見た
ライトの表情
それは、まさに絶望の淵に立たされたような、そんな顔だった
ティナは、今まで1度も見たことのなかったその表情に驚き、引き止めることすら忘れていた
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