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突然聞こえた高い声
驚いた少年は魚を落としてしまった
声が聞こえた方を見ると、路地の入口にひとりの少女が立っていた
金色の髪が目を引く
少年と同じくらいの身長だ
少年はあまりに突然なことに、何も言えなかった
今まで少年に話しかけてくる人などいなかった
町の人は少年を見ると、何か汚らしいものとして見ていたのだ
突然話しかけられて驚かない方が無理がある
少年が何も答えずにいると、少女はゆっくり近づいてきた
そして少年の足元に目をやる
そこには食べ残された魚
少女は少年の顔を覗き込む
「これ、食べようとしてたの?」
少年は驚いて後ずさる
どう答えようか迷っていたが、少女の純粋な瞳に負け、頷いた
すると、少女は自分の持っていたかごからクッキーを出した
「お魚さんより、こっちの方がおいしいよ」
少女はにっこりと笑う
この笑顔を見た時点で、少年には受け取らないという選択肢は残されていなかった
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