No.4 深淵と悲劇

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突然聞こえた高い声 驚いた少年は魚を落としてしまった 声が聞こえた方を見ると、路地の入口にひとりの少女が立っていた 金色の髪が目を引く 少年と同じくらいの身長だ 少年はあまりに突然なことに、何も言えなかった 今まで少年に話しかけてくる人などいなかった 町の人は少年を見ると、何か汚らしいものとして見ていたのだ 突然話しかけられて驚かない方が無理がある 少年が何も答えずにいると、少女はゆっくり近づいてきた そして少年の足元に目をやる そこには食べ残された魚 少女は少年の顔を覗き込む 「これ、食べようとしてたの?」 少年は驚いて後ずさる どう答えようか迷っていたが、少女の純粋な瞳に負け、頷いた すると、少女は自分の持っていたかごからクッキーを出した 「お魚さんより、こっちの方がおいしいよ」 少女はにっこりと笑う この笑顔を見た時点で、少年には受け取らないという選択肢は残されていなかった
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