No.4 深淵と悲劇

14/21
前へ
/150ページ
次へ
その後、少年は少女の家に連れていかれた 少年は少女の家族に歓迎された その日、少女の母親にごちそうを振る舞われ、ひょっとしたら生まれて始めてかもしれない手料理を食べた その時、少年は再び涙を流した すると、少女とその家族は少年が泣き止むまで、優しく微笑みながら言ってくれた ――"もう大丈夫"―― このひとことで少年がどれほど救われたろうか それからは、毎日が楽しかった 遊び、笑い、時には怒ったり泣いたりすることもあった でも、もう1人じゃない その事実が、少年を常に助けた そのおかげで、少年は心から笑うことができた ――そう、 あの事件が起こるまでは――
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加