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動かなかったはずの足は驚くほど速く動き、少女の部屋の前へと駆け出す
部屋の前についた少年は、恐れる心を必死に抑えて中を見た
無我夢中だった
少女を守りたいと思ったわけでもない
いや、正確には少女を守ろうと思えるほどの余裕すらも少年にはなかった
ただ、何か分からない力に引き寄せられるように少年は部屋の中を見た
そこには見たこともない銀髪の男と、少年が探していた少女の姿
少女は壁に背をつけ、目に涙を溜めてナイフを持ったその男を見ている
その小さな体は震え、今にも壊れてしまいそうだった
と、少女がライトを見つけた
その途端、少女は男に脅えるか弱い少女でなくなった
少女は叫んだのだ
「ライト!ダメ!逃げて!!」
少年はハッとした
この時ようやく、少年は少女を守らなくてはならないことに気づいた
いや、ようやく気づくことができた
反射的に少年が走り出そうとしたその瞬間、男が握っていたナイフが光った
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