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「覇王様、今日はどちらに?」
俺が歩いている道を塞ぐように女性数人が飛び出てきた。
彼女たちの名前は知らない。だけど、彼女たちは俺を知っている。
「ああ、今日は森ん中に散歩しに行ってくるわ」
俺は返事をして、彼女たちの間を擦り抜ける。
俺が背中を向けて歩き続出すと、後ろでは彼女たちが黄色い声援を上げていた。
「覇王さま、お腹は空いていませんか?」
「私たち作ったんですけど」
そう言って先ほどとは違う女性二人が道を遮ってきた。
すごくありがたい。喜んで受け取りたのだけれど、
「ごめん、腹いっぱいなんだ」
彼女たちが残念そうに頭が垂れているのがわかる。
普通ならわざわざ作ってくれたんだ。
無理してでももらうところだが、それができない。
二人に謝って、再び歩き出す。
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