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そこからようやく町の最端まで来れた。
普通の何倍もの時間を要してしまったが、彼らに悪気はないのだから怒ることはできない。
「おい、レン」
ここで初めて本当の名前で呼ばれた。
呼ばれたほうを見るとそこには白髪が見え隠れする初老の男性がいた。
「じいさん!」
俺は小走りでそこに向かう。
「あんたも大変になったな」
「まぁしょうがないよ」
「魔王を倒した途端にみんな手の平を返したようにあんたの機嫌取りだもんな」
「ははは」
じいさんは俺が小さいころからの友達であり、お世話になった人だ。それこそ“覇王”って名前が付く前から。
「そういやぁ、あんた武器なくしたんだよな?」
「まぁね。魔王と戦ったときに……」
「ちょっと待ってろ」
そう言ってじいさんは家ん中に入っていってしまった。
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