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そんなに待つこともなく、じいさんは片手に長細いものを持って戻ってきた。
「丸腰じゃ寂しいだろ。ほら」
そう言ってじいさんはそれを俺に渡してきた。
茶色い鞘に収められた剣だ。それの柄を掴んで鞘から少し抜くと銀色の刃が顔を出す。
「いいんですか?」
「あぁ、俺とお前の仲だからな。その代わりまた飯でも食べにこい」
人の良さそうな笑顔でケラケラ笑いながら言うじいさんに俺も笑顔になる。
「ありがとうございます。じゃあ今日夜行きますね」
「おうよ。じゃあ今日はご馳走にしなきゃな」
ケラケラ笑いながら俺の肩をバシバシと叩いてくる。正直少し痛いが、それよりも感謝の方が勝る。
「そんじゃ森ん中をパトロールしてくる」
「行ってこい“覇王”」
後ろ手にじいさんに挨拶をして俺は森へと向かった。
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