1 始まりは……

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 全てが日常じゃなくなればいいのに。最悪の日常はコンピューターを起動してから始まる。  高校生になったばかりの俺、斎藤千春。容姿は女に間違われ、あまつさえ名前まで女だ。名前だけ残して親は消えちまった。  元々俺の家は、裕福な方ではなく、むしろ貧乏だった。ここまで育ててくれた伯父さん夫婦も去年亡くなり、この家には俺しかいない。  遺産だけは有り余る程残っていたので、それで生活は出来ているとゆう訳だ。    そんな変わらぬ日常にも変化が訪れる。一枚の胡散臭い広告。  一面青色で埋め尽くされたそれに、QRコードが記載されていて、興味本意に携帯電話で撮ると、そこには、『インターネットからしか見る事ができません。またの御アクセスをお待ちしております』と、書かれていた。 「はあっ?見れねーじゃん!」  仕方なくコンピューターを起動させ、記されたページにアクセスする。すると、不思議な事に、目眩がし始めた。いきなりの事に動転してしまったのではなく、映像のせいだ。こんなの誰が作ったんだ。  その映像は、実際には、あり得ない映像ばかりが映されていて、その上にデカデカと文字が書き記されている。 『これは幻想ではありません。すべてが真実なのです。さぁこちらへおいで、マジックを始めようじゃないか』  広告事態にそれほど興味は無かったが、それに映っていた映像こそが、俺を変えた。
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