Honey

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「闇オク?」 なにそれ。 聞くからに怪しげだけど。 デカイ規模のオークション、だそうだ。そこで手に入らないものは無いって話。ちょっと…興味ありますな。 話を持ってきた同僚に頼んで、そいつの知り合いの会員からチケットを回して貰い参加してみる事にした。 これといって欲しいものがある訳じゃなく、単なる好奇心。言うほどの品揃えなのか話のネタに。つっても口外無用だそう。残念なことに誓約書まで書かされた。 受付を済ませ地下の会場に案内される。 なるほど、幅広いジャンルの商品がめまぐるしく紹介されていく。すべての商品において現物でやり取りされていて。やっぱり現物を目にすれば購買欲が高まるんでしょーな、価格はどんどん跳ね上がっていく。酔狂なこった。 まあね、どれも普段ならお目にかかれないような、市場には出回らないだろう稀少品ばかりだし。これだけの人が集まるのも分かる気がする。なかには商品として扱って問題無いのか疑わしいものまで…バリエーション豊富過ぎでしょ。 しまいには… 「うそ…」 檻のように囲われたスペースの中に、人間が繋がれてる。 あの人も、売り物なの? 年齢は俺とさほど変わらない。俯く彼はじっと何かに耐えるように一点を見つめてる。 金額がコールされる度、震えて顔色を無くしていく。 その姿から目が離せなくて。ほとんど無意識のうちに最高額を超えた入札をしていた。 冷静になって考えてみるとちょっと恐いけど。 だって、欲しかったんだ。 綺麗な顔してるのに、辛そうな表情浮かべてるのは勿体ない。 笑った顔が見たい。 どんな声してる? どんな風に笑うんだろう。 どんな風に…泣くのかな。 .
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