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「あちーっ」
ジーワ、ジーワ、と
蝉が無く声がもう暑苦しいったらない。強い日差しの中歩き通しでヘトヘトだってのに。不快指数に拍車がかかる。
せめて木陰に入ろうと公道からわき道に逸れて林の中へ。
「やっぱ道悪ぃな…」
舗装されてるわけも無くゴツゴツとした岩と砂利の上を慎重に歩く。
暑さばかりに気を取られるよりマシだ。日陰にはなるから若干は涼しいし。
ただ、目的地にまっすぐ進めないのが難点…。
まあね。少し日が落ちてから動いたっていい。
急いでるワケじゃないし。
さっきまでは、一刻も早く到着して涼みたくて仕方なかったけど、ちょっと落ち着いてみるとバカらしくなってきた。
折角こんなに緑豊かな土地にいるんだから、マイナスイオンでも感じてのんびり向かえばいいんだ。待ってくれてるじいちゃん達には悪いけど。
よしそうしよう。
そうと決まれば…
「川、あったよな確か…」
このあたりで遊んでいた頃の記憶を頼りに林の奥へと歩き出した。
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