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「ママ―!ママーっ!?」
杏の声で、ぼーーーっとしていた頭が、また現実に引き戻された。
入口を背に、廊下を抜ければそこにはお酒が置いてあるカウンターとそんなに大きくないフロアがあって。
きょろきょろしてると、杏が手招きする。
円形に組んだソファセットに足を向けると、杏のママの背中が見えた。
クリーム色の着物に藤色の帯。
「貴方が……、倫子?」
「こんば…、あ、おはようございます。廣瀬倫子です。」
挨拶をして、顔を上げると
あぁ、成功を手にした人の顔だなぁって絶対納得するような、強い、強い、でも美しさの裏に儚さも匂わせてるような…杏のママに目を奪われる。
「ん、いいわ。」
杏のママは、片目を瞑った。
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