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「いいわって言ったの。貴方にお店、持たせてあげる。」
え?とも何も言って無いのに、杏のママ、沙織さんは同じ事を2度言い、もうひとつ、多分核心に迫る事を言った筈……、頭が正直追いつかない。
「えっと……」
「ま、座って。」
沙織さんの目の前、白いソファに着席を勧められ、相変わらずきょどりながら腰を下ろす。
アルコールなんてもう飛んじゃったけど、頭がはっきりしないのを、そのせいにした。
「どういう、事ですか?」
散々考えてこの言葉。
何年も大人やってるのに泣けてきちゃう。
「貴方の夢を叶えてあげるって言ったのよ。」
細い、茶色い、長いタバコを、負けない位細い指に絡ませて、カチリと炎に先端を炙る。
そのしぐさに釘付けになって、クラブのママも素敵だな…なんてこの時はまだ呑気に考えてた。
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