[ナディア]②

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「逃げんなら今よぉ?」 杏とオープンカフェで軽いランチを取っていた。もう容赦なく照りつける陽の光、似あわなくなる前に……沢山浴びたかったから。 クロックムッシュにフォークを突き刺しながら、杏を睨む。 「逃げるわけないでしょ?折角ここまでやったのに……」 あはははは、と杏は軽く笑い飛ばし、アイスコーヒーにシロップをとろとろ流し込んだ。 「倫子ナンパしてよかったよぉ。なんかピンと来たんだな、コレが。」 得意そうにちょっと顎を上げる仕草は、イヤミがなくて女の目からみても可愛い。 「でもさぁ…、なんか……不安だよ。もいっこの方。」 杏は、あぁーーって空を仰ぐと足を組み替えた。 「何かあったら呼び出してよね、あたし、こんな事に倫子を巻き込んだけど…… 倫子に店を出してあげられた事、ホント嬉しく思ってんの。」 ふわりふわり ちょっと柔らかい風が吹く。 .
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