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「逃げんなら今よぉ?」
杏とオープンカフェで軽いランチを取っていた。もう容赦なく照りつける陽の光、似あわなくなる前に……沢山浴びたかったから。
クロックムッシュにフォークを突き刺しながら、杏を睨む。
「逃げるわけないでしょ?折角ここまでやったのに……」
あはははは、と杏は軽く笑い飛ばし、アイスコーヒーにシロップをとろとろ流し込んだ。
「倫子ナンパしてよかったよぉ。なんかピンと来たんだな、コレが。」
得意そうにちょっと顎を上げる仕草は、イヤミがなくて女の目からみても可愛い。
「でもさぁ…、なんか……不安だよ。もいっこの方。」
杏は、あぁーーって空を仰ぐと足を組み替えた。
「何かあったら呼び出してよね、あたし、こんな事に倫子を巻き込んだけど……
倫子に店を出してあげられた事、ホント嬉しく思ってんの。」
ふわりふわり
ちょっと柔らかい風が吹く。
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