墜ちる

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【これで、洋君とは不釣り合いな女だね。 もう、完全に、叶わなくなった。 ずっとずっと手の届かない人。 ばいばい。】 そうメールを送って、 すぐ、 電話帳から引き出し、 連絡を取ったのは デリヘル嬢をやってる友達【ナナ】。 【仕事無くて困ってるんだ】。 ありきたりな理由をつけて、店を紹介してもらうことにした。 淡々と過ぎてく日々を、 ぁたしはこれからすることに対する迷いが出てこないように、気を張って過ごした。 数日後、ナナと共に事務所兼待機所へ行くことになり 後戻りなんてしないって何度も自分に言い聞かせながら、当日を迎えた。 事務所とやらは意外にも実家のすぐ側にあって、 見た目はごく普通の 小さな建物。 駐車場には、場違いにも、いかにもな高級車が止められていた。 待機所は二階。 息を飲んで、 ぁたしは階段を上がった。 墜ちるために。
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