墜ちる

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『えーっと、 あ、なんか飲む???』 一見気の良さそうな店長は、笑顔で言いながら席を立った。 『…カフェオレだよカフェオレ…(笑) …絶対出てくんの毎回(笑)』 クスクス笑いながらナナが耳打ちした通り、 店長が持ってきたグラスには、 さっきからすでにテーブルの上にあったカフェオレが注がれた。 店長『で、 ある程度は話してくれてるの?』 ナナ『いや、触り程度だよ。 どんな人が来る~とか(笑)』 隣に座るぁたしは、ナナの笑いに合わせて愛想笑い。 なんていうか、 脱け殻のような感じだった。 現実味が無いというか… 意志が無いというか… 幽体離脱して、自分で自分を見てる感じ。 『えっとね、 取り分について話そうかな。』 そう言って店長は料金システムや、女の子の取り分、オプションなんかを、 マニュアルを見ながら説明してくれた。 真っ昼間だけど、 その口から発せられるのはどれも卑猥な言葉。 それを平気な顔して聞くぁたし。 だって、 現実味が無いんやもん。 ただ、 エアコンのきいた部屋がやけに寒く感じて 【ココ】にいる現実を、 肌に染み込ませていくのは分かった。
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