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~角井病院にて~
る~んるるる~ん!
ジュース買いに行こう。
久々に調子いいし…あれ?
のい先生と、未来だ。
「のい先生…?」
暗い声が響く。
「?未来。どしたん?元気ねぇな。」
「お父さん…私達の事許してくれたんだ!」
やはり、暗い声が響いている。
「よかったじゃん。なのに、なんで暗いの?」
「私のお母さん、夏樹と同じ病気で亡くなったんだって…。」
あぁ。だからか…
「……空良さんか。ごめんな。俺が治してやれなかったから!!」
強く大きく出したつもりが、頼りなく、情けない声が小さく吐き出される。
「ど…うゆう意味?」
未来は、酷く困惑した顔だ。
「俺が空良さんの主治医だったんだ…」
ちらちらと、未来の顔をうかがいながら喋った。
まだ、声は頼りないままだ。
「あ…そうゆうこと。」
え。えええええ~~!?
マ、マジかよ⤵
未来の母さんて、美井さんじゃなかったのか?
「気にしないで。だってのい先生は、一生懸命やってくれたんでしょ?」
気を遣ってんのがバレバレだ。
「あ、うん。最善をつくしたつもりだよ…。」
「なら、大丈夫。小さい頃に亡くなったらしいから、顔も覚えてないし。」
………
「…あ。アルバムで少し見たけど、美人だったネ!」
動揺しすぎて、声がうらがえってる。
「…俺が治せてれば、今も幸せに…『一番悲しいのは、私なのに!なんでのい先生が泣くの?私だってお父さんに迷惑かけたくないからって、泣きたいの我慢してるのに!!』
「あ…いや……えっと………」
「!だ…だから、そんなに自分を追い詰めないでってことだからね!?」
本音が出てしまって後悔してるのか、顔を俯かせてしまった。
「有り難う。」
え。じゃあ、美井さんは再婚で、未来の本当の母さんじゃない…。
その、えっと!?
そう、空良さんって人が本物の母さんで、産みの親ってことか?
「じゃあ、夏樹にも話してくるから。」
夏樹は隠れて、聞いてんの見ちゃったけどな。
未来は、気付いてなかったみたいだ。
「いってらっしゃい。」
自分のなかでは、精一杯の笑顔で送り出した………つもりだ。
夏樹がポツリと、呟いた…。
あたま、パンクしそう……
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