元カレ

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『まこ、ちが…誤解やねんって』 創が追い掛けてくる。 案の定、 女の子も来る。 『おまえは、ホンマにいい加減にしいや』 女の子にむける 創の顔は、 かなり 腹立ってるから もうヤバイ。 「創クンは、 黙っててくれる?」 『おまえが、ひっこんどれや!なんなん? 帰れや!』 ヤバイのを やっと察知したのか、 女の子は 静かになり、 泣いて 私に電話をしてきた 友達に 泣きついてる。 彼女が離れたので 歩くのを止めた。 『どうしたの? ちゃんと聞くよ。 でも、今じゃなきゃ ダメなの?』 冷静に、冷静に 言葉を選ぶ。 創は、 思いがけない 優しい返答に 叱られることを 覚悟してた 子供みたいな 安堵の顔をした。 関西人が、 なまりのない子を 優しく感じる 特有のアレは、 こういう事なんだろう。 「今じゃなきゃ ダメやねん。 すぐ電話切るやろ?」 確かに、私は 一方的に電話を切る。 「あんな、 誤解なんやって。 別れるとか 簡単に言わんといて」 簡単に言えば、 合コンには行ったが 家に 彼女が勝手に来て 勝手に家に上がって、 勝手に飲んで、 勝手に酔って、 勝手に寝た…と言いたいらしい。 「は?違うよ!? 彼女いないって言ったじゃん… それにもう、 本気で好きになっちゃったんだもん!」 創が またか…という 呆れた顔をする。 『俺は、 まこが好きやねん。 お前じゃないんよ。 だからもう 帰ってくれる?』 創が半ギレで その子に言った。 そして 再び私を見た。 泣き崩れる彼女を 創は 見たはずなのに。
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