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「どうしたの?元気ないね。」
開口一番、そう聞いてきた亜由美に
颯ちゃんと電話してからの
自分の胸のうちを
一気に打ち明けた。
「不安だ、不安だ」と
心の中で爆発しそうな思いを
初めて声に出したら
それだけで少し
心に新しいスペースが産まれた。
「颯一さんが浮気するなんて、
確かに考えにくいよね。
彼女じゃなくても
一瞬で見抜けそうだし。」
そう、彼は嘘なんて
つける人ではない。
久々に会ったというのに、
亜由美には私の不安を
聞いてもらうだけの
ディナーになったにも関わらず、
親身に聞いてくれたあと
別れ際に彼女はこう言った。
「でも、家族ぐるみの
付き合いしてたのに、
颯一さんは音沙汰ないし
澪は落ち込んじゃってるしじゃ、
おじさんもおばさんも
心配してるんじゃないの?」
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