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ある週末、いつものように
うちで晩御飯を食べながら、
颯ちゃんが言った。
「物件探しなんだけど、
なかなかいいのが見つからないから
もっと範囲を広げて探そうと思うんだ。
だから、しばらく週末に
あちこち見て廻りたいから
会えなくなるんだけど、ごめんな。」
「それならまた
一緒に見に行っちゃダメ?」
「それも考えたんだけど、澪には
お客様第1号になってもらいたいから
開店するまで何もかも秘密に
しようかなって思ってさ。」
気になるけどそれはそれで楽しみだと、
会話ははずんだ。
「だけど、ちゃんと連絡は
こまめにちょうだいね。」
「わかってるよ。
もう前みたいに心配はかけないから。
おじさん、おばさん。
澪に寂しい思い、させちゃうけど
すみません。」
「なに、そんなに改まっちゃって。
ねぇ?」
そう笑いながら言って
パパとママに顔を向けると
二人は予想外に神妙な顔をしていた。
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