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しばらくすると、真琴は木の板を持ってきた。
左手には、数本の釘と小さな鈍器が握られている。
「何をするの……?」
少女は答えずに、血にまみれた亜美の体を抱き抱えると、木の板に寝かせた。そして、
その四肢に
大きな太い釘を打ち始めた。
骨に当たるのか、ガリガリという奇妙な音がする。
しかし少女は力いっぱいに釘を打ち、釘はとうとう骨を突き抜けた。
ー声にならない絶叫が口から漏れた。
少女は四肢に釘を打ち終えると、満足そうにそれを眺めた。
ー血まみれの、小さなオブジェ。
すると、家の奥から声が聞こえてくる。
「まこちゃん、買い物行くわよー」
恐らく真琴の母親だろう。
何も知らない彼女は、平和な声で娘の名を呼ぶ。
娘が部屋で何をしているかも知らずに。
「はーい」
真琴は明るく答えると、亜美にばいばいと手を振って、部屋を出ていった。
真琴がいなくなった部屋には、
悲痛な唸り声だけが響いていた。
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