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(夏なのに肌寒い…)
この裏庭は、
放課後になると全く陽が当たらない。
遠くで野球部が練習している声がする。
人がほとんど訪れないそこは、
学校から切り離されているんじゃないかと疑うほど静かだ。
(あ、つぼみが膨らんできた)
誰も居ない裏庭の花壇の世話をするのが、
彩夏の唯一の幸せだった。
毎日やって来て、
花と会話するのだ。
この時だけは、
辛いことを忘れられる。
けれど、
天候にすぐ左右される花の素直な生き方に、
少し嫉妬する。
それでも花は、
彩夏の支えだった。
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