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ニコリと笑いながら話だすふじわらさん。
「呪いではない。願いかな?私の」
少し寂しげに笑う藤原さんを見て、胸がチクりと一瞬傷んだ。
「巻き込んで悪いが、私の願いを聞いて欲しい。園子。」
真剣な眼差しで見つめられ、黙って頷いた。
「私は、昔思いを残したまま死んでしまった。その思いがこの本に残り、この本の中で願いを叶えてくれる人をずっと待ちつづけていた。そして、あなたを見つけてしまった。園子。」
真剣に話す藤原さんから目を逸らす事もせず聞いていた。
「園子、私と共にこの物語を作っていくと最後には帰れるから!それまでは、一緒に暮らして下さい!」
思いきり頭をさげた藤原さん。
とても真剣さが伝わってきて、思わず
「わかった。帰れるまではいてあげる。」
と話していた。
この不思議な世界に暮らす事に疑問を持たず返事を返してる私って、おかしいよね。
この時、藤原淳行に何か特別な感覚を感じている私がいたなんて、気づいてはいなかった。
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