魂の番人

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リィィィィン!! ここに来てから酷い耳鳴りがする、頭が割れそうだ 近くにいるというのか…… 辺りを見回すと、一面に桜の木が並んでおり、その何れもが開花していた 静かにそよぐ風に花びらは舞い、きっと綺麗な景色なんだろうなと思う しかし、今はそんな事を言ってはいられない この地に憑きし魂を狩るために、遠路はるばるこんな山奥まで来たのだ それに俺の直感が、近くに何か居ると警告している まったく、こんな能力のせいで静かに景色も楽しめぬとは 因果な商売だよ、まったく リィィィィン!!! 耳鳴りがさらに酷くなってきた きっとこっちだ 俺は、『直感』と呼んでいる魂の在処を見つけるチカラに誘われ、開けた場所へと出た そこには小さな沼―――否、湖があった 手入れがされているらしく、その近辺だけは雑草の刈り取りや植物の配置に気配りが感じる 影で太陽の光を浴びない花がないようにと、花の位置をずらすために掘り返した跡が見えた リィィィィィィィン!!!!! 「っつ!!」 ここだ 一際激しい痛みに呻き声をだしてしまった 馴れないな…これだけは 痛みが収まり、落ち着き払ってから、俺は『喚魂の儀』を始めた 湖に淡い光が灯る やがてその光は大きくなり、辺り一面の景色を空白にした 何もない……虚無の空間 そこに少しずつ色がついていく まるでキャンバスに描いてゆく風景画のように 全てに色が付くと、目の前には湖に腰から下まで浸っている女性がいた 長い髪からも雫が滴りおちて妙になまめかしい まだ状況が理解できていないのだろう。此方をキョトンとした眼で見ている 『貴方は―――誰ですか?』 彼女の問いに、俺はなんてことはなく、軽い言葉で応えた 「死神さ」 春にそよぐ、優しい風が 桜の花びらとともに 彼女の終焉を迎えに来た
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