プロローグ

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 木彫りの表札と、手に持ったメモ用紙を照らし合わせる。  よし、……ここであってる。  戸口脇にあるインターホンを押し、相手が出るまで数秒。がちゃりという音と共に応答ランプが点灯した。  それを確認し、白い息をひとつ吐く。マイク部分に向かって、声を張り上げる。 「と、とつぜんの訪問、申し訳ありません! 自分は、今年度生徒会長に就任した名茨相馬と申します! 本日は娘さん……えーと、凪さんにお話がっ……」 『――貴様。誰の許可でわたしの土地内に入った?』 「……え」 『許可がないなら消えろ。貴様の呼気で空気が汚れる間に、だ』  プツッという残響を残し、黄緑のランプは消滅する。 「あ……れ?」
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