冒頭

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 そうなってしまう生徒には、なにか抱えている問題というものがあるのだろう。  一言で話せない何かが、心のなかで蠢いているような、そんな感じ。  だから、相馬は全校に訴えかけた。 それを解決、とまでは言わない。ただ、いい方向に持っていくため、まずは身近なところからよい環境を作っていくことが大切だ、と。  ――と、なにが言いたいかというと、彼女もその対象の一人だった、ということだ。  ……きっと問題を一人で抱え込んでしまってるのでは? それで、答えが出ずにその鬱憤を勉強に当てて現実から逃げて……。 「……よし」  意気込み、相馬は氷のように冷たい掌を、熱く握りしめた。ついに空が決壊し、その手にはらりと雪が落ちてくる。すうっと、体温で雪は溶けた。 「直接、会ってみようかな」  走っていないと気が済まないのは性分だ。だったら、それを貫き通す。 こうして、悩んでいた明日の行動は、聞き込みに決定した。  ――だけどこのとき、のちに自分を怨むことになろうとは、当然のことながら想像だにしていなかった。
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