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「んでツンデ……優子、今日のお前は何を読んでんのかな? どれどれ……」
『狂』
(まぁダイナミックかつストレートな題名だこと……)
「……極限の恐怖に……人間……特にガキが陥ると、色々と面白いことになる」
優子がゆっくりと口を開けた。
「お前の趣味は良く分からん」
俊正は俊正で、クラスの読み物である山菜図鑑を読んでいた。この際何故山菜なのかとかはどうでも良い。
「あるものは恐怖で息絶え、あるものは不安と孤独から誰かを道連れにしようとする。そしてあるものは婦女に襲いかかる」
「映画とか漫画の見すぎだっつの」
と、優子の話を適当に聞きながら、依然としてコールを続ける。だが雪也は出ない。
「甘いな、甘いぞ、カカオ45%だ」
優子は、甘いと言うときは大抵この表現を用いる。
「で? なにがチョコレートなんだ?」
翼は携帯に夢中であまり話は聞いてないものの、ちゃんと相槌は打つ意外と律儀な男だ。いや、暇と言うべきだろうか……。
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