水江浦嶋子的体験

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『起きたら見知らぬ天井だった』 ……なんてのは、小説や漫画ではとてもありふれた文ではあるが、現実世界ではそうそう起こらぬ話だろう。 しかしながら、そんな常識は1人の天上天下唯我独尊少女によって守られていると言うことを俺は知っており、今まさにそいつの夢を見て起きた所なのだが……。 「ここは……どこだ?」 誠に遺憾ではあるが、そいつの気まぐれか、神の気紛れか、見上げた視線の先は見知らぬ天井だった。 寝惚けた俺の脳も流石に正念場だと思ったようで、取り敢えず起き上がり部屋を見渡してみる。 畳・襖・布団、そこそこ広い部屋間。 実家の和室の様だという感想が相応しいだろう。 しっかし、携帯すら無いとは。 私物は身に纏ってる衣服のみだ。 取り敢えず窓を開けて外を確認してみよう。 滑りの悪い窓を開け、空を見上げる。 暑い。 そこにはジリジリと照りつけるように、アマテラスオオミカミの恩恵が降り注いでいた。 それもその筈、今は夏休み前である。 ほっと、閉鎖空間では無いことに安堵し、部屋を出て廊下を歩いてみる。 えらく静かだ。 おーい。どなた様かいらっしゃいませんかー。 返事はない。 廊下をさ迷うがごとく歩いていると、神棚がでかでかと置かれている部屋にたどり着いた。
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