水江浦嶋子的体験

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脇には酒瓶がこれまたでんと乗っており、部屋は他に何も無い。 随分と信心深い家系なのだろうか? 「そのお酒はね、外の世界から来たのよ」 突然の背後からの声に一瞬ビクッとし、俺は振り返る。 「もちろん貴方もだけどね」 くすくすと笑うその人物は、いわゆる巫女装束を纏っており、これは当然なのだが女性だった。 男性だったのなら少々間を開けなければならなかったところなのだが、その女性は俺より年下の中学生くらいの少女だった。 「あー、単刀直入で悪いがここは一体どこなんだ?」 「ここは博麗神社。ついでに言えば、幻想郷とあちらの境界線上に位置する所に建っているわ」 少女は落ち着いた物腰ですらすらと台詞を述べるかの様に言った。 「え、なんだって?幻想郷?あちら?何を言っているのかサッパリだ」 「よろしい。じゃあ縁側でお茶でも飲みながらQ&Aにしましょう」 俺としては一刻も早く状況を説明してほしい所ではあるが、ここは年上として同意しておく。 先に縁側に座らせてもらい、少女はお茶を沸かしに行った。 少し暇が出来た。 この急展開イベントの整理をしてみよう。 まず、私物は服のみ。そして、ここは『博麗神社』という場所らしい。 先程の少女は十中八九、ここの巫女だろう。 (これはハルヒの意志なのか?しかし、何でったってこんなへんぴなド田舎の神社に……) そこで、前に起こった『涼宮ハルヒの消失』事件を思い出す。 あれも今回のように、自分だけ違う世界に飛ばされてしまったかのような気分だった。 しかし、今回ときたらかなり難易度が高いかもしれない。 学校もSOS団も、自分の家さえも無いのだ。 ふと、長門の顔が浮かんできた。 (いかんいかん。また長門を頼ってしまっては……) 「はい。どうぞ」 いつの間にか少女は俺の横にお盆を持って立っていた。
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