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「ああ、貴方“外の人”だったね」
霊夢が困ったような顔をし、その後面倒そうな顔に変わった。
「えーと。じゃあ取り敢えず簡単に話すから、しばらく聞きに回ってちょうだい」
いや、聞きに回るのは構わんが、また“外の人”なんていう不可解な単語が出てきた。
長門の事もある。話を聞くだけ聞いてみよう。
「──と、これで全部よ。質問は?」
霊夢の話が終わった。
「えーっと、じゃあなんだ。ここ『幻想郷』は俺の住んでいる世界と隔てられた世界で、妖怪・神・幽霊・魔法使いが仲良しこよしで住んでいる忘れ去られた者の集う理想郷って事か?」
全く笑えんぞ。
「ま、それら種族同士が仲良しこよしかどうかは貴方が判断すればいいわ」
そう言って霊夢は目を閉じた。
嘘をついている様には見えないし、ただの電波少年ならぬ電波少女にも見えない。
だからと言って信用する訳にはいかんが。
「私がそんな嘘をついてなんの得をすると言うの?」
「そうだな。例えば、俺に脱走する気を起こさない為とか」
その前提だと俺は拉致られたって事になるな。
「どうぞ、構わないわよ。脱走してくれても」
そう言って俺を外に促すフリをする。
「……冗談だ」
「どうだか」
ニヤリと霊夢は笑みを浮かべる。
それに対し、俺は苦笑い。
「はぁ……。じゃあ、信じるか信じないかは保留にしておいて、取り敢えずその霖之助さんとやらのお店に行こう」
「それは余り推奨しないわね」
お、長門みたいな言い回しだ。
「なぜだ?」
「貴方、靴は?」
「あっ……!」
靴さえも無いのか、今の俺は。
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