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今の俺に比べたら、公園のホームレスなどかなり充実した装備だろう。
「それに森は障気で満ち溢れているから普通の人間が行ったら、狂い死んでもおかしくない」
「……じゃあ、どうすれば良いんだ?」
「しょーがない。私が見に行ってくるわよ」
はぁ?
そんな危険な場所に俺より年下の女の子が行くなんぞ、お前は行く前から障気にあてられてるんじゃないか?
「ふん。心配されるほど私は落ちちゃ無いわ」
俺の表情を見て悟ったのか、少し拗ねた調子で霊夢は靴をはく。
「じゃ、戻ってくるまで留守番お願いね」
「お、おい……」
そして、霊夢はふわりと宙に浮いた。
比喩ではない。
本当に、間違いなく、ガチでマジ出島だ。
いままで、この世のスーパーナチュラルをこれでもかと言うほど見てきた俺でも、これには驚天動地である。
「あら?あんまり驚いていないようね」
少し不満そうに眉間を狭くする。
「いや。これでもかなり驚いているんだが」
「そ。じゃあ、ただ単に鈍いだけか」
ひどい言い様だ。
まぁ、鈍感なのは自覚があるが。
「ま、このトリックを暴くいい文句でも考えておくのね。じゃ!」
霊夢はガキの頃に見たピーターパンのごとく、スイーっと森の方に飛んでいった。
また愉快な、非常識的知人が増えてしまったな。
……やれやれ。
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