始まり『1』

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自宅から会社まで近い孝平は毎日毎日徒歩で出社していた。 孝平『静也。 約束覚えているか?』 孝平は空を見上げ、 煙草に火をつけた 舞台は変わり、社長室 秘書『おはようございます。社長。』 孝平『おはよう。午後からグループ懇談があり、会社を抜ける。用があれば携帯へ』 秘書『分かりました。では隣におりますので何かあれば。』 孝平『うむ。』 孝平は今朝の手紙が気になっていた。 ガキの頃から友達少ない孝平に携帯が普及され手紙など来る可能性が無かった。 手紙の表には 『木戸孝平様』 裏には 『長崎県から始まる住所。名前が荒川美冬』 孝平『誰だ?美冬?』 『木戸孝平様』 突然のお手紙申し訳ありません。 私は荒川美冬。 高瀬静也の内縁の妻です。 事件のことは知っています。 全て静也さんに聞きました。 孝平さん、友姫奈さんのことも、仲良くしていたと聞いています。 単刀直入に申し上げます。 高瀬静也は亡くなりました。 手紙はまだ続きがあったが一度孝平はしまった。 煙草に火をつけ、一枚の写真を見つめる 写真の裏には 友姫奈の字で、 『ずっと一緒』 『孝平、静也、友姫奈』 と書いてあった。 後ろに少し、三咲が写っているのが笑える当時15歳の写真。 孝平『静也。馬鹿野郎。』 孝平は久しぶりに泣いた。 母親が死んだ以来の本気の涙だった。 秘書『社長。代表がお見えになりました。』 孝平『親父が?分かった。』 孝平は少し声震えていた。 秘書『社長何かありましたか?』 孝平『気にするな。何でもない。』 代表と社長以外入れない別室。 通称『帝国の間』 代表『すまんな、いきなり来て。』 孝平『別に好きにしたらいいさ。元々親父が作った会社だし、この部屋は母さんと父さんの思い出の部屋だから一切触っていない』 代表『写真を一つ取りにきただけだからすぐに帰るさ 後これプレゼント渡してくれ。 由利亜にな。』 孝平『孫のプレゼントくらい自分自身で渡せよ。ったく仕方ないなぁ。預かるよ』 代表『もう10年か。孝平は三咲さんと結婚すると思っていた。 孝平には友姫奈さんは重すぎると思っていたよ。まあ幸せなら頑張れ。』
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