2、負が生み出し、正が生み出す物

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「__イイカゲン」 両者の勝手なやり取りを黙視していた明良の言葉に両者が動きを止める。 「___ニシロ」 「ゼンイン、コロス」 淡々としているが、声はシルファとの会話で見せていた優しさは皆無。 酷く低く冷たい一言は大気を揺るがし、それに恐怖した小動物達が逃げ出す。 そして、その場に居た両者も例外ではなく驚愕した。 魔濃度を取り込めず、魔力もない明良が黒いオーラを身体に漂わせていたからだ。 「「「なんだ、あれは・・・」」」 口々に未だ嘗て見た事のない光景に、声を漏らした。 シルファはだけは震えていた。 得体の知れない黒いオーラにではなく、負に支配され瘴気に似た匂いを放つ明良に脅えていた。 「ソコノ、ハゲ。」 濁りきった光を感じさせない眼を坊主頭に向ける。 畏怖し感じた事のない重圧に言葉が出ない坊主頭。 しかし、今の明良には関係なく気にもせず続ける。 「コロサレルカ、シヌカ。サンビョウデ、キメロ。」 異端さを放つ尋常ではない黒いオーラ、息をするのさえ忘れてしまう程の重圧に坊主頭とラッセルは一瞬で悟った。 怖い、逃げれない。 既に全身が震え、冷や汗が衣服を濡らしていた。 明良は坊主頭達から視線をネルファへと向ける。 坊主頭と同様に瞬き一つ出来ず、向けられた視線に一瞬で背の銀毛が逆立つ。 「ソノ話ニ耳ヲ傾ケナイ飾リノ耳、引キチギッテコロシテヤル。」 その場に居る全員が、恐怖と重圧に抑えられ身動きが取れなくなった。 1人を除いて。 明良はゆっくりと坊主頭へと歩み出した。 小動物は勿論、魔物ですら危機を感じ逃げ出した異端の黒いオーラ。 それを放つ明良は邪悪で、死を彷彿させる笑みを浮かべながら一歩づつ近付く。
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