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えっと、進学組とは違い就職組の俺こと春崎 明良(シュンザキ アキラ)は最後の1年間を満喫する気だった。
で、仲の良い友人達とカラオケでオールして、公園で未成年フル無視の酒を飲んで帰宅した。
ここまでは、良い。
が、記憶が帰宅途中の道までしか残っていませんね。
「うん、さっぱりだ。」
それに、自宅近くに山なんてない。
此所、マジで何処なんだ?
少しづつ込み上げてくる不安があらぬ事を思い浮かべさせる。
幸いな事に、まだ空は明るい。
ふと、時間が気になってポケットに閉まってある携帯を取り出し開く。
「8時か。」
時間を確認した際に、圏外の二文字が視界に入る。
俺の頭に最悪の図式が完成した。
覚えがない+
見知らぬ森+
携帯は圏外+
助けを呼べない+
食は現地にて+
食材知識は皆無=フライアウェイ。
「え、俺死ぬの?ここで?んな、バカなっ!!」
思わず声を荒げるが、取り乱していても事態は進展はしない訳で、とりあえずフラットに行こう。
落ち着け落ち着くんだ、春崎明良。
焦って闇雲に動いても自分の首を締めるだけ、大事なのは冷静さ。
そう、冷静さなんだ。
よし、まずは移動しよう。
さぁ、方向が解らない以上どう移動するかだが。
太陽を見上げ西と東を推測する。よし。
「行こう、まだ見ぬ希望を求めてっ!!」
森にこだまする声が、俺を孤独にさせる。
駄目だ。
全然フラットに成れない。
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