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その色白な奥さんは始終黙ったままである。
その沈黙に困った旦那さんが後ろを振り返りこう言った…。
「ママ、○○さんいいひとでよかったね!」
奥さんは相変わらず無反応である。
しかしその言葉に照れた母は返す言葉を見つけようとしばらく考えていたが、言葉が見つからず結局…
「お嬢ちゃん!お雛様のあられ食べる?」
と言って会話を締めくくった。
人は突然思いもよらず誉められるとお礼を忘れ動揺するものである。
ましてやこの場合初対面の人間に有り難い第一印象を突きつけられ……
「ありがとうございます」というのも何となくヘンなので「まあ確かに私たち悪い人ではないしいいひとだから安心して暮らしてください…。」
と言えばよかったのか…?
冗談である。
それよりも奥さんのその時の反応がひっかかたのだが
旦那さんに「いいひと」と褒められた私たちはちょっとだけ浮かれてしまっていた上に、向こうが私たちを「いいひと」という位だから「きっと向こうもいいひとに違いない!!」と思い込んでいた。
ところが、後にこの「いいひと」という言葉が世界一嫌いになってしまう出来事が起こるのである……。
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